編集幹事、ばんざいです。

 ホイールに関する記事の要望が多いようですので、性能的にオールマイティで且つコストパフォーマンス優先という観点からのホイール選び指針をある程度まとめました。

 特にエントリーグレードのメーカー完成車の場合、低グレードのホイールをアッセンブルする事で価格を控えている為、一番最初に交換したくなる、そして交換したら効果が最もはっきり分かる機材である事は間違いありません。

 話が散漫にならぬよう、軽装である程度ペースを上げて走行距離を稼ぐファストランに向くロードバイク用車輪とします。
 これから乗り始める人や、今まで使っていたものからアップグレードしたい人を主な対象と想定します。
 異論・反論はもちろんありましょうが、確固たる信念を持ち選択出来る人は、そもそもこんな記事を必要としていないと思われますので、御自身のポリシーを貫いて下さい。
1)アルミリムかカーボンリムか? WO(クリンチャー)かチューブラーか? リムハイトは?
 お勧め出来るのはアルミリム、ミディアムハイト(リム高30mm程度)まで(シマノの完組に使われているアルミ・カーボンコンポジットリムもアルミリムの一種として含みます)。
 理由は耐久性や重量比強度、およびコストパフォーマンス。
 ちなみにリムハイトを高くしても、見た目ほどには空気抵抗は減りません。
 相対的にスポーク本数の方がより大きく影響します。
 もちろん同じスポーク本数ならリムハイトが高い方がより空力に優れますが、実際に使って差が出るのは高速時の空力的直進安定性と縦方向に高い剛性からくる転がり抵抗の少なさであり、レースでなければ必要無い性能と特性です。
 もちろん強風下では逆に蛇行を抑える為に余計な体力と神経の消耗を強いられる可能性を覚悟する必要があります。

 対応タイヤはWO(チューブレス対応含む)で。
 そうなるとディープリムは重いアルミ+カーボンコンポジットが大半となる為、自然と選択肢から外れる筈です。
 リム重量が重く慣性モーメントが大きい方が一定速度で巡航するのに向くという意見もありますが、公道の信号待ちでのストップ&ゴーでは明らかに大きな負荷となります。
 登りでは単純に軽い方が有利なのは言うまでもなく。

 また、もちろんチューブラーでも走れますが、あえて(特に初心者に)勧めるメリットは何一つありません。
 ロードレーサー用タイヤはチューブラーしかなかった時代から走っている経験も踏まえて断言しますが、『チューブラーの方が乗り心地に優れる』などというのは現代的タイヤでは理論的にも実際にも、幻想に過ぎません。
 レースでチューブラー使用率が高いのは、チューブラーにしか対応していないカーボンリムの使用率ゆえです。
 もちろんロングライドにカーボンディープリム+チューブラーを使用している人もさほど珍しくはありません。
 私自身もレース用に所有しているので場合によってはロングライドにも使用する可能性が無いとは言いません。
 が、特に費用や耐久性の面から、少なくとも積極的に人に勧めるものでは無い筈です。

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2)手組か、完組か?
 ハブ、スポーク、、ニップル、リム等、車輪の構成部品を個別に選定し、ショップや個人の手で組み上げられた車輪を手組車輪と呼びます。
 これに対してホイールメーカーがあらかじめ専用の構成部品を用意し、メーカーで組み上げられた完成状態で出荷される車輪を完組車輪と呼びます。
 ここでは一部市販部品を使用してメーカーによって組まれた車輪も完組に含めます。


○手組のメリット
・スポーク本数が多い為スポーク1本当たりの負担が低く、仮にスポーク切れを起こしても振れ幅が小さめに止まる事が多く、即自走不可となる可能性が若干なりとも低い。体重がある人も比較的安心。
・自分で車輪組を経験すれば振れ取りなどトラブル時の対処技術が身に着く。

×手組のデメリット
・スポーク本数が多い事による大きな空気抵抗。
・部品選択肢の少なさ。
・スポーク組みの技量によって大幅に耐久性が変動。

○完組のメリット
・スポーク本数が少ない事による空気抵抗の低減。
・量産効果による比較的安定した品質と良好な価格性能比。

×完組のデメリット
・スポーク本数が少ない為、1本でも切れると走行不能なほど振れる事が多い。
・トラブル時の融通の利かなさ。スポーク1本でも専用部品を取り寄せるか、メーカーによってはショップレベルでの修理を認めておらずメーカー送りとなる。補修部品価格も高い。
・豊富なラインナップにより、際限なく価格が高騰している上位モデルが欲しくなる。
・想定体重以上のライダーが使うと突然トラブルが増える。完組車輪での破損トラブルは90kg付近を境に急激に増える印象がある。

 上記のメリット、デメリットを突き合わせて行くと、あまりスピードを求めず冗長性
を優先するなら、手組の方が向いているように思われます。
 車輪の回転に伴いスポークが空気を攪拌する抵抗は、自転車の走行抵抗の中で非常に大きな割合を占めるものですが、速度が低ければその影響も比較的少ないわけです。

 が、私はここ6年以上、一貫して完組車輪を使い続け、(落車時に轢かれて破損したケースを除くと)一度もリム破損やスポーク切れに見舞われた事がありません。
 それもレース時のみ使用する決戦車輪を除くと、05年のマビック・キシリウムSLと10年のシマノ・WH-6700の2セットのみを使用し続けての話です。
 ちなみに体重は最軽量時でも67kg、現在この原稿執筆時は恥かしながら80kgほどあります。
 しかも後輪にあきばっくす編集長のハンドルバーを巻き込んでロックするといったアクシデント(「ロングライダースVol.1 P122参照)まで経てもスポーク交換すら必要としなかった位です。
 もちろん、アクシデントによる破損は運によるところが大きいので定量化した評価は出来ませんが、スポーク切れはそう滅多に起きるトラブルではないという事です。
 私個人だけでなく、仕事として携わっている範囲でも周囲のショップも含め、ぶつけた・踏んだというアクシデント以外でのスポーク切れはあまり耳にしません。
 その滅多に起きないトラブルのリスクを更に低減する(それでも当然、全くのトラブルフリーは有り得ない)為に手組を選択するか否か。
 そこはもう個人の価値観と割り切りによる選択だと思います。
 私はいつも、万一出先でスポーク切れに見舞われたら、潔くその場で予定を打ち切るつもりでいます。
 携帯しているニップルレンチでフレームに干渉せずにギリギリ自走出来るレベルにリムの振れを誤魔化し、最寄駅かタクシーが拾える場所まで辿り着ければよし。
 その場合はリムやスポークに無理が掛った状態での走行となるので、リムもスポークも全交換もしくは車輪自体全損と割り切っているわけです。
 それだけの割り切りが出来ていれば、完組み車輪の性能は非常に魅力的であると言えます。
 ロングライドといえど、一日の走行距離を伸ばそうとすると必然的に平均速度を上げる必要があり、その為には平地での巡航速度が大きく影響します。
 ある程度以上のペースになると、車輪の空力差は非常に大きく作用してくるのです。

 また、『量産効果による比較的安定した品質』と書きましたが、それでも完組車輪でも出荷されたそのままの状態では若干スポークの捻じれ、テンションのばらつき等が残っている事がありますので、少なくとも私は必ず納品前にチェックし調整します。
 チェックの結果全く調整が必要無い場合もありますが、という事はつまり多くの場合は手を入れる必要を感じるという事でもあります。
 ある程度車輪組みの技術と知識を持ったショップでは、出荷状態そのままで納品する事はほとんど無いようです。
 そうした初期調整の有無が、長期的に見たリムの耐久性や、スポークトラブルの頻度に影響している事は想像に難くありません。
 逆に言えば恐らく最初にそうした手間を掛ける事で、その後のトラブルフリーはかなりのレベルで実現出来るものと思われます。
 完組車輪のスポーク関係トラブルは、そうした初期調整無く「外れ」の車輪を使用した事によるのではないでしょうか。
 そしてその調整というのはニップル1/8回転とか、ニップルを固定したままスポークの捻じれを戻すとかいうレベルが多いので、経験の無い人が見よう見まねで弄ると逆に状況を悪化させます。
 スポークテンションメーターも必要でしょう。
 スポーク本数が少ない分、ある意味手組よりシビアであるとも言えます。

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 あるいはリムの振れやスポーク切れが頻発する人は、段差・穴などへのヒットによりリムが変形し、スポークテンションがばらついた状態で走行してより深刻なトラブルへと繋がっている事も考えられます。
 一度リムが変形してしまうと縦振れを無視し(=諦めて)スポークテンションを調整したとしても、耐久性は著しく落ちます。
 リムが変形してしまった場合、完全な対策はリムおよびスポークの全交換(スポークの再利用はトラブルの元)しかありません。
 そのあたりも考慮して点検すべきでしょう。

 つまり、手組にせよ完組にせよ、トラブルを防ぐには初期段階(少し走ってからの再調整も含む)の調整が重要である、という事です。


3)手組を選択する場合
・トラブルの少なさ、丈夫さを重視しましょう。
 ディープリムを少ないスポーク本数で組んで、等というマニアックな選択は、覚悟の上でやるなら個人の趣味ですが、多くの場合は半端に重く半端に抵抗が大きく、高くついて耐久性にも欠ける、という「悪いとこ取り」になりがちです。
 少なくともロングライド向きではありません。
 強度・剛性共に実績のあるアルミリムで、36Hなど出来るだけ多めの本数で、#14プレーンもしくは#14・15バテッドなど、太めのスポークで組む事をお勧めします。
 単にスポーク切れ対策ならスポーク両端が太いバテッドスポークでよいのですが、スポーク伸びによる長期的な振れなどにはプレーンの方がより安定します。
 特に体重のあるライダーの場合はそのあたりも考慮すべきでしょう。
 そして重要なのはリムの精度と強度・剛性。
 安物リムを使うと精度が出ていない為スポークテンションが安定せず、使用状態でもスポークに掛る負担が大きく(剛性が低く動的なリム変形量が大きいのでスポークの伸縮量も大きい)、耐久性もエネルギー伝達効率も著しく劣る車輪になります。
 特に自分で車輪組をしてみようという場合、きちんと精度が出ていてある程度剛性の高いリムでないと、振れが出ていても自分の組み方が悪いのかリムのせいなのかが判らず、上達の切っ掛けがつかめません。
 例えばマビックのオープンプロとオープンスポーツ、見た目は似ていますしオープンスポーツの方が若干重いのでこちらの方が無難か、と思われがちですが、組んでみるとびっくりするほど精度の差があります。
 ショップに依頼するにせよ自分で組むにせよ、あえて手組車輪を選択するなら最初はデファクトスタンダードと言えるマビック・オープンプロで組む事をお勧めします。
「自分は体重は軽いし剛性は必要ない」と思っても、軽量リムの使用はお勧めしません。
 500g弱程度の決して軽くないリムと340g程度の軽量リム、慣性モーメントは断然後者の方が小さく踏み出しが軽い筈ですが、実際に組まれた車輪を乗り比べると前者の方が乗り味は軽いという事が往々にしてあります。
 リムの剛性とはそれほど重要なのです。
 秤に載せた重量にばかり神経質になる事の無意味さが判ります。

 なお、ここまでしつこく書いたら念を押すまでも無い筈なのですが(しかしあえて書くのはそういう事をする人が多い)、元がいくら良いものでも中古のリムやスポークを組み直すのは論外です。

 ハブに関してもシマノかカンパが無難でしょう。
 軽量さを売りにしたハブは、ホイールとして構造体に組み上げた状態の性能をまるで考慮していないかのような設計の物も見受けられます。
 シマノでしたらグレードは予算次第で。105以上ならそう不満は出ないと思います。
 無理に上位グレードのハブを選んでリムのグレードを落とすような選択はお勧め出来ません。
 スポークの銘柄も手組み派のディープな世界ではあれこれ言われますが、少なくとも太めのスポークで頑丈に組むというコンセプトなら星(ホシ)で十分です。
 丈夫さを優先し、アルミニップルは避けた方が無難。

 ショップに依頼するなら車輪組みの経験豊富な所へ。
 繰り返しますが、車輪組みはとにかく経験です。
 完組車輪も初期チェックが重要と書きましたが、メーカーによる品質管理が無い手組みの場合は組んだ人間の技量に全てが掛かっているわけで、その後の耐久性に大きく影響します。
 もし自分で組むなら、振れ取り台やセンターゲージ、スポークテンションメーターなどの工具は良い物を。
 また、車輪組みの技術は2セットや3セット組んだ程度で身に付くものではありませんので、組んだばかりの車輪でいきなりの遠出は控え、まずいつでも帰れる範囲でみっちり乗り込んで、初期振れも縦横しっかりチェックして馴染みが出てからロングライドに出かけましょう。
 ちなみにパワーロスを嫌ってスポークテンションを無闇と上げても、ある程度以上は意味が無いばかりかリムが負けてかえってたわみ易く(圧縮方向へは変形しやすく)なります。
 スポークの伸びも早くなり、場合によってはハブフランジのスポーク穴が楕円に変形してきたりします。
 トラブルを避ける為、きつくも緩くも無い中庸なテンションで組みましょう。
 コンマ5㎜以下の振れに神経質になるより、スポークテンションが出来るだけ一定になる方が望ましいです。
 横ブレより縦ブレに気を配りましょう。


4)完組を選択する場合
・実績のあるメーカーの実績のある、ミドルグレードの製品がお勧め。
 もちろん性能に直結する部分ですので、予算に余裕があるならハイエンドのグレードを選択しても一向に構いません。すばらしい性能を発揮してくれるでしょう。
 しかし使用する以上、段差にヒットさせるなどのアクシデントで壊す可能性も考慮すべきで、また壊さなくともブレーキシューの当たり面が磨耗する事は避けられません。
 特にレースの為の練習走行などではあまり積極的に走りませんがロングライド時には時として否応なく遭遇し強いられる雨天時におけるブレーキングは、砂混じりの水で砥がれている様な物です。
 ロングライドにおいては雨の峠を一日中走り続けたり、下りの直線でスピードコントロールの為にブレーキを引き摺り続ける等、レース以上にリムが摩耗しやすく厳しい使用条件が多々あり、寿命が短くなりがちです。
 チューブレスも含めクリンチャーリムは、磨耗し限界を超えて肉厚が薄くなるとタイヤ、チューブの空気圧による内圧に耐え切れずリム自体がバーストする危険が生じますので、磨耗状態を常にチェックしながら使用する必要があります。

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 画像のようなピンホールや溝などの磨耗インジケータ(磨耗して消えたら使用限界)が設けられている場合もあります。

 減ったらリムを(その際には必ずスポークも)交換すればいいだろうという話ですが、補修部品としてリムやスポークを購入した場合、手組み用の汎用品より高価なのが常です。
 工賃まで含めると新品購入と大差無い費用になったりしますし、工賃を浮かせる為に自分で組み替えるにはある程度通常の手組み車輪を組んだ経験がないと厳しいでしょう。
 物にもよりますがハブベアリングの消耗などを考慮すると、リムが磨耗しきったら丸ごと新品に買い換えるのとどちらが得かよく考える必要があるレベルです。

 その辺りまで含めて費用対効果を考慮すると、同一メーカー内でハイエンドグレードに対して半額以下となっていることが多いミドルグレードの魅力が際立つわけです。
 取り扱い代理店の規模、部品供給やアフターサービス等を考慮すると、シマノ、カンパニョーロ、フルクラム、マビックあたりが無難でしょう。
 もちろん他のブランドでも構いませんが、取り扱いショップとアフターサービスなどに関して充分事前に相談する事をお勧めします。

 また、海外通販などで安く購入するという手もありますが、この場合は未調整で使用してスポーク切れ等のトラブルが発生した場合、いたずらにその製品の信頼性を疑うのではなく、自力で販売ショップやメーカーとのアフターサービス交渉を行うなど冷静な対処が必要となります。
 逆に「壊れたらまた買い換えればいい」というくらい割り切れば、気が楽で良い選択かもしれません。

 具体的な製品としては、実売4万円を切る価格でチューブレスにも対応するシマノ・WH-6700が頭抜けたコストパフォーマンスを発揮しています。
http://cycle.shimano.co.jp/publish/content/global_cycle/ja/jp/index/products/wheels/road_wheels/product.-code-WH-6700.-type-..html
 充分な剛性とほどほどに軽量な重量(デュラエースとの重量差の大半はフリーボディ)、良好な回転性能と豪雨の中で連続使用してもハブに水が浸入すらしないシール性能と耐久性、フロント16本、リヤ20本の細いステンレススポークにより低減された空気抵抗など、限られた投資でエントリーグレードのホイールに対して大きな優位性を体感出来る筈で、カンパニョーロコンポーネントユーザーにお勧め出来ないのが残念なくらいです。
 チューブレスタイヤ対応というのも重要なポイントです。
 チューブレスの転がり抵抗の少なさ、乗り心地のしなやかさと路面追従性の高さ(=荒れた路面でも跳ねずグリップを失い難い)は特筆すべきものがあり、この価格帯で試してみる事が出来るというのは大きなアドバンテージでしょう。

 性能的な競合品としてはカンパニョーロ・ZONDAやフルクラム・レーシング3の2way-Fit(=チューブレス対応)や、チューブレス非対応ですがマビック・キシリウムエキップ辺りとなるでしょうが、とにかく価格が大幅に違います。

・アルミスポークかステンレススポークか?
 価格帯とお好みで。
 全般的な傾向として、アルミ系スポークの方が剛性が高くなりやすく、硬めの踏み味を好む人に向きます。
 空力的には同じスポーク本数なら断面積が小さいステンレススポークの方が有利です。
 なお、カーボン系のスポークは横方向に押されるなどのアクシデントに弱いので、トラブルのリスクが少ないに越した事は無いロングライド向きとは言いかねます。


 余談ですが、完組車輪をマニュアル通りに扱っても明らかにハブにガタがある、あるいは著しく回転抵抗が大きいという場合は、初期不良の可能性があるので、うかつに弄り回す前に購入ショップかメーカーに相談して下さい。
 ここで注意して頂きたいのは「マニュアル通りに」というのが非常に重要なポイント。
 多くのホイールはフレームに装着しクイックリリースで締め付けた状態でベアリングの玉当たりが最適化するように設計されています。
 安易に抵抗を少なくしようと玉当たりのプリロードを弱く(=緩く)すると、実際に走行荷重が掛かった状態でガタが出てベアリングが暴れ、結果瞬間的に高荷重が掛かる事で抵抗が大きくなったり摩耗したりという事も考えられます。

 また、水や埃がベアリング内に侵入する事を防ぐコンタクト(接触)型のオイル・ダストシールは、負荷が掛かっていない状態では抵抗に感じます。
 ちなみにベアリングメーカーの研究によると、潤滑油が汚染されなければベアリングの寿命は無限に伸びるそうです。
http://www.juntsu.co.jp/qa/qa1505.html
>ベアリングの隙間は0.1~1.0μmであるとされ,潤滑油中の1μm以上の
>汚染粒子を除去することで寿命は飛躍的に長くなり
(引用元:JUNTSU NETさま)
 自転車のハブにおいては、シマノのハブは非常にシール性能が高く、グリスアップの為に開けてみてもグリスが汚染されていない事が多く、オーバーホールだと言って必要も無いのに分解する事で逆にトラブル(汚染による摩耗や玉当たり調整不良)を呼んでいるケースが多々見受けられます。
 もちろん常にチェックは必要ですが、具体的なトラブルの兆候が無ければ何もしないのが一番無難です。

 逆に無負荷状態であまり無抵抗に回転するようだと、シール不良で実際の走行負荷が掛かった状態では抵抗が大きくなる事も疑わねばなりません。
 ベアリングの回転性能というのは、実際の走行荷重が掛かった状態で評価されるべきものであり、ハブ単体で空転させて語っている意見は素人のものとして受け流すべきです。


 以上、特に初心者に心得て欲しい知識という観点から思いつくまま上げてみましたが、あくまでも指針の例です。
 ホイールの重要性を認識して頂くと共に、これから自転車を購入なさる方はメーカー完成車のアッセンブルがいかに目先の数字(金額)優先で、結果として後で買い替えると高くつきかねない事を良くお考え下さい。
 金銭感覚が麻痺したベテランは無闇と高価な製品を勧めがちですが、旅費が無くなったりしては本末転倒ですので、バランス良く予算を割り振って楽しい自転車生活をお送り下さい。


【番外編】ディスクホイールの真実
「ロングライダースを読んで自分も痛ディスクを作りたくなった」という言葉をよく目にします。
 それ自体は大いに結構だと思います。
 しかし、レース用機材の中でも特に高価でかつ使いどころの限られるディスクホイールという機材、実際に使ってみた経験のある方は少ないでしょう。
・ディスクは硬い
 カンパニョーロ・ギブリやアラヤなどのテンション構造(リム-ハブ間に張られた膜状の構造体の張力で形成されている)以外の、一般的なアルミハニカムや発泡ウレタンをカーボンシートで挟んだ構造のディスクホイールは、通常のスポークホイールと比較すると、ほとんどたわまないと言っていいほど硬いです。
 岩を転がしているような感覚です。
 乗り心地に関しては推して知るべし。
・ハブシャフトやベアリングなどの耐久性に乏しい
 走る度にシャフト交換するのを前提としているのではないかというくらい華奢な構造をとっている物が多く見受けられます。

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 例えば画像のZIPPロード用シャフトは肉厚の薄い中空アルミでしかも左右分割、驚くべきことにアルミのシャフト自体にネジ山を切って捩じ込む構造です。
・割れます
 バルブホール外周部の薄い部分を段差にヒットさせると比較的あっさり割れます。
 そうしたアクシデントが無くとも、振動や応力が集中するハブフランジ外周に沿ってクラックが入ります。
 これは早いか遅いか、いつ来るかは使用状況などによりけりですが、ほぼ確実に避けられません。
 以前練習にディスクホイールを使い続け何枚も壊し続けた友人曰く、「ハブを握って揺すってキシキシ音が鳴るようになったらヤバイ(=寿命)です」だそうです。
 遠出先で自走不能にならぬよう、普段から欠かさずチェックして下さい。